カラダがだるい、頭が痛い、イライラする、眠れない…
自分では原因がわからないカラダの不調を感じていたら、
それは「不定愁訴(ふていしゅうそ)」かも。
「よくあること」、「気のせい」などと決めつけてしまわず、
ご自分の症状や原因を知り、改善をめざしましょ
なかなか原因を特定できないカラダの不調、「不定愁訴」
「不定愁訴(ふていしゅうそ)」という言葉をご存じですか?日常会話の中ではほとんど耳にしない「愁訴」というこの言葉には、「苦しみや違和感を口に出して訴えること」という意味があり、「原因がはっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪い」といった状態のことを「不定愁訴」といいます。体調不良を感じて病院で診察・検査を受けても、特に異常は見つからず不調の原因がわからない……。実は、こうした症状を感じている人は多く、成人では20~30%の人が不定愁訴をもつと推定された報告もあります※。
※ Rosendal M, Olsen F, Fink P:Management of medically unexplained symptoms. BMJ 330:4-5, 2005
不定愁訴によくみられる症状は?
具体的な症状や、期間・頻度は人それぞれです。ひとつの症状が長い期間続く人もいれば、複数の症状が不定期にあらわれる人もいます。
よくある症状としては、カラダのだるさ、頭痛、冷え、便秘、めまい、むくみなど、全身にあらわれる身体的な不調や、わけもなくイライラする、気分が落ち込む、眠れないなどの精神的な不調があります。
不定愁訴の多くは自律神経の崩れから
不定愁訴は、心身のストレス、不規則な生活習慣、ホルモンバランスの乱れなどが要因となり、自律神経のバランスが崩れたときにあらわれることが多いといわれています。そのほか、何らかの病気が原因で起こるケースもあります。
症状は年齢、性別を問わずあらわれますが、ホルモンバランスの乱れが原因であらわれるケースは、男性よりも女性に多い傾向がみられます。その理由は、女性のカラダがホルモンバランスの影響を受けやすいため、内臓、血管、呼吸、体温など体内のさまざまな機能を調節する自律神経バランスの崩れにつながり、不調を引き起こすと考えられています。
月経に伴う症状は「PMS(月経前症候群)」に、45~55歳前後の女性の症状は「更年期症状」に含まれます。日常生活が困難になるほど症状が重い場合は、治療の対象となります。
上記のようにある特定の時期に起こるのではなく、自律神経のバランスが崩れ心身に不定愁訴の重い症状が出た場合は「自律神経失調症」と診断されます。たとえば、10代に多い立ちくらみや脳貧血などの「起立性調節障害」も自律神経失調症のひとつと捉えられています。
また、病気が原因であらわれる不定愁訴は、原因となる病気を特定し適切な治療を受けることで改善することができます。
不定愁訴から疑われる病気
治療が必要な病気のサインである場合も
原因がはっきりしない不定愁訴には、“周囲の理解を得にくい”という一面があります。そのため、「仮病だと思われたくない」「つらいけれど仕方ない」とあきらめてしまい、誰かに相談したり休暇を取らず働き続けたりしてしまうケースも少なくありません。しかし、「よくある症状だから」「我慢できるから大丈夫」などと油断していると、不定愁訴から疑われる大きな病気を見逃してしまう可能性もあります。
不定愁訴の主な症状と原因
症状 |
考えられる主な原因 |
考えられる主な病気 |
だるい、
疲れやすい |
- 女性ホルモンのアンバランス(PMS、更年期障害など)
- ストレス、生活習慣による自律神経の乱れ
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- 鉄欠乏性貧血
- 軽度のうつ症状
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
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頭痛 |
- 女性ホルモンのアンバランス(PMS、更年期障害など)
- ストレス、生活習慣による自律神経の乱れ
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- 鉄欠乏性貧血
- 軽度のうつ症状
- 片頭痛
- 脳の病気
- 子宮筋腫や子宮内膜症など、婦人科系の病気
- その他、頚椎、心臓、血圧の異常、顎関節症、歯周病などの病気が隠れているケースもある
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肩や首のコリ、
腰痛 |
- 女性ホルモンのアンバランス(PMS、更年期障害など)
- 運動不足
- 姿勢の悪さによる筋肉の緊張
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- 子宮筋腫や子宮内膜症など、婦人科系の病気
- 軽度のうつ症状
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目の疲れ |
- 長時間にわたるパソコン、スマートフォンなどの使用
- 眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていない
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- 眼瞼炎
- 結膜弛緩症
- ドライアイ
- アレルギー性結膜炎
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冷え |
- 女性ホルモンのアンバランス(PMS、更年期障害など)
- ストレス、生活習慣による自律神経の乱れ
- 運動不足や過度なダイエット
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便秘、下痢 |
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- 甲状腺機能亢進症(軟便)
- 甲状腺機能低下症(便秘)
- 過敏性腸症候群
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イライラ、
不眠 |
- 女性ホルモンのアンバランス
(PMS、更年期障害、マタニティブルーズなど)
- ストレス、生活習慣による自律神経の乱れ
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不定愁訴と上手に付き合うには
まずは、日々の生活習慣を見直してみよう
個人差があるとはいえ、女性がライフステージを通してホルモンバランスの影響を受けずに生活していくのは難しいものです。また、現代社会では、多くの人が自律神経の崩れにつながる何らかのストレスを抱えています。
不定愁訴は、「ムリしないで!」という、こころとカラダからのメッセージなのかもしれません。不定愁訴を予防するためには、まずは健康的な生活習慣をめざすことが大切です。適度に休みを取りこころとカラダをリラックスさせる、毎日の食事を見直し栄養バランスの良いレシピを試してみる、運動不足を解消する、質の良い睡眠をとる、などといったセルフケアを取り入れてみましょう。
もし、不調や不快感、つらさが続くときは、ひとりで抱え込まず、医師の診察を受けることも大切です。
何科に相談?あなたの身近に「かかりつけ医」がいると安心です
「医師の診察」と聞くと、「ちょっと体調が悪いぐらいで病院に行くのは気が引ける……」、そんな風に思うかもしれません。しかし、体調がすぐれないときに早めに医師に相談することには、病気の早期発見や、症状の悪化を防ぐなどのメリットがあります。
具体的な症状や、不調のあるカラダの部位が明確であれば、それらに対応する診療科のある病院に相談してみましょう。もし、どの診療科・病院に行けばよいかわからない場合は、まずは通いやすい内科や婦人科に相談してみるとよいでしょう。そのまま治療を受けられることもありますし、症状によっては適した専門病院を紹介してもらうこともできます。
このように、不調を感じたとき、気軽に相談できる「かかりつけ医」がいると心強く、安心です。通いやすい内科や婦人科が、信頼できる「かかりつけ医」になるかもしれません。まずは一度、相談してみましょう。
ちょっと体調が悪いとき、
つらい不調が続くとき、
「我慢しなくちゃ」と思わないで!